オールドレイク急行の殺人
1974年12月24日、パリ駅の1等車専用待合室では9人の男女が列車の発車を待ちわびていた。パリから1泊2日の旅程で中東のコンスタンティノーブルへ向かうオールドレイク急行に乗車する彼らは9室しかない1等客室の乗客だ。
1等車には専用のラウンジやダイニングも備わり、乗客には個室も与えられる。
とはいえ、設備が豪華なだけ乗車券の価格も非常に高価で、もっぱら上流階級ご用達の客車だった。
普段は満席になることは少ないが、今日の便は9室すべてが満席だった。
様々な思いを胸に秘める乗客たちを乗せ、オールドレイク急行は出発を控えていた。