伊呂鳥荘 湯けむり温泉殺人事件
山奥にひっそりとたたずむ温泉宿『伊呂鳥荘』。 昭和の文豪や政財界の人間も愛した歴史ある旅館である。 ひとたびつかれば、5歳は若返ると言われる『鳳凰の湯』が名物だ。 深夜、閑静な温泉宿に悲鳴が響き渡る。 宿の名物『鳳凰の湯』で、ひとりのうら若き女性の死体が発見されたのだ。 被害者は、宿泊客のひとりだった。 すぐに警察を呼んだが、折り悪く宿に続く山道で土砂崩れがあったため、駆けつけるのに時間がかかるという。 宿の一切を取り仕切る若女将・白鳥蘭は、すぐに事件現場である『鳳凰の湯』を封鎖する。 しばらく警察が来られないと分かると、今夜宿に泊まっている6人の宿泊客を藤の間に集めて、お互いに監視しあえるようにした。 6人の宿泊客と1人の若女将。 それぞれ、何かしらの秘密を抱えている様子の7人。 犯人は、この中にいる。 一体、誰が被害者を殺害したのか? 集められた7人は、誰からとなく事件の話を始めるのだった――