精霊囁く千一夜
神託は告げる。
千と一日の物語を紡ぎ続ければ、王は真実の愛に目覚め、
血塗られた夜は終わるだろう――。
そして、ついに迎えた約束の千一日目。
王妃は今宵もその声で物語を紡ぐはずであった。
だが王妃の元へと人々が訪れると、王妃は寝台に横たわり、息こそあるものの、いかに声を翔けようと、いかに揺さぶろうと目を覚まさない。
それは、古き伝承に語られる呪いのようであった。
――夢夜のジンが与えるという、“永遠の眠り”のように。
アラビアンナイトをモチーフとした世界観と物語重視のマーダーミステリーです。