かくて不死なる御子は黄泉路へと騎馬を走らせたり
2021年11月01日公開
世界観は大雑把に、リアル寄りの中世西洋風のファンタジーです。魔法も奇蹟も存在していますが、魔法は使える者が限られていますし、奇蹟は本当に稀にしか起こりません。舞台となる大陸には、東西南北それぞれに大国があり、各国の王の思惑に従って協力や対立を繰り返していました。
このうち北の国に、あるとき、「不死なる御子」という英雄が誕生します。
彼は「一切の傷を負うことがない」という奇蹟を発現していました。
──ですが、なぜか彼は死んでしまいます。
彼が死んで二日後、あなたがたは北の国の国王に召喚されました。
不死なる御子がいかにして死に至ったのかについて、そなたらに議論を交わしてもらいたい、と。
『かくて不死なる御子は黄泉路へと騎馬を走らせたり』(以下、不死御子)は、マーダーミステリー型のLARPです。
LARPとは、自分とは別の人物になりきり、心や体の動きを伴わせて、参加者全員で空想世界への没入を体験する遊びです。ファンタジー風の衣装を着けてTRPG的な物語を体験したり、サバイバルゲームのように戦闘を楽しんだりするものが有名ですが、現代服でホラーものを遊ぶ、テーブルに着いた状態で食事をしながら物語を楽しむ、役職や性格の設定されたディベートを体験するといったものまで、様々なものがあります。
マーダーミステリーとは、推理小説の登場人物の一人となって起きてしまった事件の真相を探ったり、犯人役となった場合には虚言を弄して逃げ切ることを目指す、会話主体の遊びです。ジャンル名に「マーダー」とついてはいますが、失せ物探しなど日常系の作品も存在しています。また推理モノであるため、一度しか遊べないという特徴があります。
不死御子は、この両者の中間的な遊びとなっています。全員で登場人物になりきり、キャラクターの心情に寄り添いながら議論や会話を重ね、事件の謎を紐解いていく形となります。アナログゲーム勢に向けた言い方をするなら「協力型のパーティゲーム」というくくりになるかと思います。またマーダーミステリーの「一度しか遊べない」という部分を受け継いでいます。
LARPとしては、全員が着座した状態で行う「卓上LARP」に近い形になります。
マーダーミステリーとしては、「クローズ型」に近い形になります。全員が設定書にない事柄を語ることができます(便宜上、これを「虚言」と呼びます)。全員が着座している関係上、密談はできません。せいぜい隣の人とのひそひそ話になるでしょう。カードはありますが最初から各自が持っている形であり、これを取得するためのチップのようなものはありません。勝利点という概念がないため、点数を得るためのミッションもありません。プレイヤーがなにがしかの思い出を持ち帰ることができれば、それが勝利ということになります。