楽園酒店
ここは、アジアのどこかにある地図には無い島。
正確に言えば、どの国も地図に書いてはいけない島。
あらゆる国にとって、軍事的に重要な拠点となるこの島は、どの国も所有したい島であり、同時にすべての国に敵対してしまうため誰も所有したくない島であった。
そこで、各国政府はその島を無いものとして扱った。しかし、その島を放置しているわけにはいかない。多くの国が無所属の傭兵を雇って、その島を秘密裏にコントロールしようとした。
各国が依頼していた傭兵たちが、一つのマフィアコミュニティに所属する無法者たちであることに気がついた時には、もう取り返しのつかないことになっていた。
いつしか、この島はどんな権力も介入できない混沌とした政治的な爆弾になってしまった。
そして島は、マフィアたちの「楽園」になった。
この島を管理するのは変わり者の老人。 彼は「リー」と名乗った。髪を長く伸ばし、ゆったりとした服を着た老人はつかみどころがない。
彼が人前に出てくるのは5年に一度だけ。島で開かれるオークションの開催日のみであった。
貴重で違法な美術品を取り扱うオークションだが、参加者の思惑はそればかりではない。
変わり者の彼は「自分を殺し、それを証明したものにこの島の支配権を譲る」と言う。
10年前のオークションで老人は殺された。殺人者は彼を殺した証拠に衣服や彼自身を本国に持ち帰り、リーの雇った弁護士だという人物に証拠を突きつけた。
しかし、彼の死亡は認められなかった。
その後、殺したと主張した組織に手紙が届いた。 「我不会死」(私は死なない)とまぎれもなくリーの筆跡で書かれていた。
今日は5年に一度のオークションの日。
参加組織は4つ。 南部イタリアの港を仕切る残忍な「ラトス・ファミリー」 決して全貌を明かさない日本のヤクザ「塩川組」 各国政府とのパイプをもつ中国マフィア「大青会」 イギリス凶暴な若者を率いる「スプリング・ギャング」
それぞれの思惑を胸に4人の悪人たちは「楽園」へと向かった。
オブジェクティブマーダーミステリー「楽園酒店(パライソホテル)」は、事件現場の残された証拠品を調査しながら真相の解明を目指す推理ゲームです。
このゲームに「調査カード」はありません。
その代わりに「証拠品」を模した様々なアイテムが登場します。 事件の真相は「キャラクターのハンドアウト」と「証拠品」の中に隠されています。
どうかこの事件を解決してください。
そして、真実を見つけたその先、物語の最後はあなたたちの判断で決まります。