2023年序盤の注目作『その銃口は誰に、』ネタバレ無し紹介
マシュー/2023年2月5日
マーダーミステリー(以下「マダミス」)も、日本で本格的に遊ばれるようになって四年近く。アプリ業界では海外発のものも含め、いくつものアプリがリリースされていった。
プレイヤー数、イベントの立てやすさ、シナリオ作成の利便性など、様々な点で一強状態の「ウズ」だが、公式マーダーミステリーレーベル「Postknox」を立ち上げるなど、積極的に新しい企画にも取り組んでいる。
そんな「ウズ」から本日、満を持してリリース予定の注目作が、『その銃口は誰に、』、通称『銃誰』だ。
制作者は「眼鏡野鼠」氏。2022年、フジテレビ系列の人気テレビドラマ『世にも奇妙な物語』と無料マンガアプリの『ジャンプ+』合同の「『奇妙』漫画賞」において、『冷静な彼女』で準大賞に輝いた人物だ。
その実力が示す通り、本作でもドラマの登場人物になったような外連味たっぷりの時間を過ごすことができるだろう。
鍵のかかった部屋、目覚める男女、スピーカーから流れる音声……デスゲームめいたシチュエーションで物語は始まる。
キャラクター選択の際にも必要最低限の情報だけが提示され、相手の名前から確認していくような、手探り状態で議論が始まるはずだ。
しかも、どうやら同じような状況の部屋がもう一つ……? 部屋同士を繋ぐ電話を介し、情報交換を行う必要がある。
映画「SAW」第一作を複数人構成にしたような、唾を飲み込む音が響くような緊張感を楽しめるだろう。
本作は現状「ウズ」内でのみプレイが可能で、物語が少し進めばすぐに分かるはずだが、オンライン、さらにウズという環境を上手に利用して世界観を再現しており、普段プレイしているタイプのシナリオとは、また一味違った体験ができるだろう。
また、ただ漫然と情報の整理をするだけではなく、気づきを得られればより議論が推進される構成で、より推理に力が入る。
日本でのマダミスの進化には目覚ましいものがある。数千作がリリースされている昨今では、テーマやギミックなどがかぶってしまうこともあるだろうが、本作にはそういった懸念を感じさせない新鮮さが溢れている。
事件全貌の解説も、必要にして十分なボリュームで、裏設定的な箇所も含めプレイ後にもじっくり楽しめるだろう。
実際にプレイしたところ、簡単な感想戦を含めて公称190分のプレイ時間にピッタリと収まった。アプリ内のスキップ機能や、シナリオ自体の疾走感も手伝って、あっという間の体験だった。
プレイ料金は一人当たり1200円。オンラインシナリオの相場では比較的高額な部類かもしれないが、プレイを終えた今では、むしろ割安感すらある。
『ジャンプ+』のサイトでは受賞作の『冷静な彼女』も公開されている。
「世にも奇妙な」雰囲気に、「眼鏡野鼠」ワールドを感じ取れるだろう。
また、『その銃口は誰に、』はテキストで、『冷静な彼女』はマンガで表現されるのに最適化されている点も素晴らしい。
「最近、面白いマダミスあった?」という問いには、「『銃誰』を早く遊んだ方がいいよ」と返答する日々がしばらく続きそうだ。
【クレジット】
タイトル:「その銃口は誰に、」
プレイ人数:5人
公称プレイ時間:190分
プレイ料金:1200円
制作者:眼鏡野鼠(Twitterアカウント @owkmV51I2X638w6)