■ストーリー
<客船上のアンブロシア>
どこまでも続く水平線、美しい海のど真ん中。
これから世界に革新をもたらすIT系メガベンチャー企業のクルージングパーティーが行われていた。集まったのは、企業の社員をはじめ、開発に協力する教授、投資家とその秘書。各々が自分勝手な期待を胸に、海上での優雅なひと時を楽しんでいた。
というのも、「大切な話がある」と社長が一部の参加者に漏らしていたためだ。豪勢なランチに舌鼓を打ちながら、参加者は社長の発表を今か今かと待ちわびていたが、いつまで経っても社長は姿を現さない。
不穏な空気が漂いはじめ、一同は社長を探すことに。
すべての船室が調べられ、唯一鍵のかかった社長室の扉を開けた時、そこにあったのは浜辺に打ち上げられた魚のようにくたびれた、ずぶ濡れの社長の遺体だったのだ。
<片足は異世界にありて我は立つ>
電脳世界(メタバース)『ビヨンド』は隆盛を極めていた。
専用の機械「HEGG(ヘッグ)」に入ることで脳波とリンクし、現実と遜色ない“第2の世界”を味わうことができる。
このサービスは瞬く間に世界中に広がり、今では全世界人口の半数以上がビヨンドでの“生活”を楽しんでいる。
ある日、ビヨンドに異変が起こった。原因不明の“異常状態”になるという事例が相次いで報告されたのだ。
件数こそ多くはないものの、“異常状態”にかかったプレイヤーの現実世界での死亡が確認されたという噂が流れたことから、ネット上では問題視する声が高まりつつあった。
とあるイベントにも、その影響は及んだ。打ち捨てられたダンジョン攻略のため集まった7名。攻略は何事もなく成功するかと思われたのだが…。
突如ダンジョン内にこだました叫び声。集合した参加者が目撃したのは、不自然に停止し、身体(アバター)のところどころがノイズにえぐられたイベント企画者の姿だった。
それは噂に聞く“異常状態”そのもの。放置すれば、現実世界で人が死ぬ。ことの重大さに気づいた参加者たちは、広大な世界(メタバース)の捜索を開始した。
すべては、彼の命を救う方法を探すため。
店舗より
声優さんがステージ上でマーダーミステリーを用いて物語を即興で紡ぎ上げる舞台公演『声優マダミスコレクションvol.01』のために書き下ろされた作品です。
こちらの公演をご覧になった方はご参加いただけません。
用意された台本に沿ってセリフの”読み合わせ”を行なう場面がございます。
”読み合わせ”の文量が通常作品より多くなっています。