官邸の死神
2024年11月04日公開
ある国に民衆から絶大な支持を得る統治者がいた。彼の名は織田。政治家の家系に生まれ、若くして首相の座に就いた。彼のカリスマ性は計り知れず、その言葉は人々を魅了し、未来への希望を抱かせた。しかし、彼には暗い影が付き纏う。敵対者が次々と不幸に見舞われるという噂が広まり、人々は「織田首相には死神がついている」と恐れた。
事件はある満月の夜におきた。
ある日、織田は最も信頼する4人を別荘に招き、労うための会食を催した。その夜、全員が宿泊予定で遅くまで楽しんでいたが、深夜、織田に敵対する野党党首の浅井が、秘書・明智の部屋で無惨に殺害された。遺体は全身の骨が折られ、顔は酷く歪んでいた。そして、その歪んだ顔を隠すかのように真っ赤な薔薇が散らされていた。まるで死神への供物のようだった。
最初に遺体を発見したのは明智だった。彼に呼び出された面々は、信じがたい光景に息を呑む。この別荘に宿泊していたのは、織田、秘書の明智、SPの猿飛、専属占い師の晴明、新興宗教「幸福教」の教祖天草だけ。
5人の容疑者、そして凄惨な殺人。織田に付き従う死神は本当に存在するのか?今、物語が動き出す。