聖罰ギャンビット
2025年。
何の前触れもなく、“それ”は現れた。
人の血を吸う魔物──【吸血鬼】の大量発生。
吸血鬼に血を吸われた者の末路は二つ。
正気を失い、人を襲い食らうだけの怪物──【眷属】と化すか。
或いは【継承者】と呼ばれる、新たな吸血鬼として生まれ変わるか。
継承者の発生例は極めて少なかったものの、世界に混乱を巻き起こすには十分だった。
一体でも駆除困難な吸血鬼が、更にその数を増やしていくという絶望。
懸命な抵抗も虚しく、人類は少しずつ生存圏を奪われていくことになる。
激しい戦いが続く中、米国の巨大製薬会社【エリュシオン】が吸血鬼用血清の開発に成功。
この血清を利用した各種武装が開発され、人類は吸血鬼に対抗するための手段を獲得した。
対吸血鬼用の特殊戦闘訓練を積んだ者達は【ヴァンパイアハンター】と呼ばれ、エリュシオンを中心とした【ハンター協会】の指令を受けて、吸血鬼との熾烈な戦いを繰り広げることとなる。
一進一退の攻防が続く中、ハンター協会は一連の吸血鬼事件における重要参考人、【始祖吸血鬼】の一人が東京・新宿にいることを突き止める。
協会はただちに始祖吸血鬼の討伐を指示。
精鋭部隊が編成され、彼らは新宿へと派遣された。
ネオンの明かりが途絶えることのない不夜城、新宿の一角にそびえ立つ不気味な洋館。
精鋭達はその扉の前に立ち、それぞれの武器を構えた。
信念。信仰。友情。執念。信条。或いは……。
様々な思いを胸に、彼らは禁断の扉を開く。
そして──。