食材のための得意料理
あなたたちは、人里離れた深い森の中に佇む、完全会員制の創作料理レストランに集まっていた。看板のないその店は、知る人ぞ知る名店であり、今日でちょうど「開店10周年」の記念日を迎えるという。
あなたたちは、この店の料理に、そしてシェフに惚れ込み、何度も足を運んできた。しかし、他の客と顔を合わせるのは今日が初めて。本日は10周年を祝う特別な夜として、シェフの思い入れのある常連だけが招待された。
テーブルには、5人分の席が用意されている。
しかし、開宴の時刻になっても、最後の1人がまだ姿を現していない。
――チリン、と静かにドアのベルが鳴り、厨房から一人のシェフが姿を現す。
『皆様、本日は10周年という特別な日に貴重なお時間を割いてお越しいただき、誠にありがとうございます。まだ来られていない方がいらっしゃいますがお時間となりましたので始めさせていただきます。料理は鮮度が大事ですから。それではグラスを持ってください。最後の皿までごゆっくりお楽しみください。乾杯。』
グラスの音が響き、10周年の特別なコース、その「第一の皿」が、今、目の前に運ばれてくる。