名探偵と●人の貴族
クース王国、グランツベル辺境伯領。夜分、広大な館の一室で。
家長、エデュアールの死体が発見された。
『貴族邸内での紛争は、家中調停に付して処理せよ』
伝統に基づき、厳かに、粛々と、犯人決定の議論が開始される。
だが、この場の誰もが知っている。これは単なる推理ゲームではない。
金、権力、相続、コネ。その全てを懸けて、全てを用いて、欲しい物を欲しいままに手に入れる。
これはそういう闘いだ。
息巻く彼らの前に、一人の男が飄々と現れた。
「いやぁ匂うなぁ。これは血と、死体と、それと嘘の匂いだ」
名探偵。男はそう自称した。