それは今より少しだけ未来の世界。「寺須研究所」では世界でも最先端の再生医療技術が研究されていた。最先端とはいっても、その研究所にあるすべてが、新品のように輝く設備で揃えられているのではない。最先端のコンピュータとともに使われる、多数の旧型コンピュータ。最先端のデジタル資料とともに参照される、膨大な手書きの資料。むしろ再生医療技術という点を除けば、時代遅れをいくつも抱えた研究所なのかもしれない。それでも、「寺須研究所」は世界でも確実に三本の指に入る最先端の研究を行なっていた。不可能を可能にしてきた『寺須孝二郎』博士の天才と研究員の努力と情熱とが、ここまで研究を進めさせてきたのだ。だがある日。『寺須孝二郎』博士は遺体で発見された。その時に研究所に居合わせたのは、8名の男女だった……。