■ストーリー
202×年2月1日。
しんしんと舞い散る粉雪は堆積し、白く覆われた歩道は、往来する人の速度を半減させる。
犬は喜び駆け回り、幼い子供たちは雪を玉にして遊んでいた……ともすれば、のどかな光景だが、受験を控えた学生にとってその道は、最悪でしかない。
高校3年の夏、合宿を共に過ごした「五反田班」の7人。2月1日は全員が受験本番初日。彼らは各々の受験会場に赴く前に集まる約束をする。年末から登校もなくなり、皆で集まる機会もなかった。長い時間は取れないが、闘いの前に鼓舞し合えれば……と。
校舎に集まったのは6人。彼らは10分ほど近況報告をし、円陣を組んで気合を入れると、入試の行われる戦場に向かうのだった。
その間も雪は勢いを欠くことなく舞い続ける。受験会場に向かう彼らにとって白く染まったその道は、やはり最悪でしかなかった。
いや、最悪は雪ではなくこの世界そのものだったのかも知れない。7人の高校生たちにもたらされる世界。その未来。最悪ならざる道を、彼らは拾うことができるのだろうか……。