■ストーリー
大正時代からの名家として名高い、【婦始嬉一族(ふしぎいちぞく)】
彼ら一族には、生まれる子供が「必ず女児」である、という不思議な慣例があった。
前当主「婦始嬉 加寿枝(ふしぎ かずえ)」が不幸な事件によりこの世を去ってから8年――。
今日まで、加寿枝の婿である「婦始嬉 貴彦(ふしぎ たかひこ) 」が当主代理を務めていたが、
遂に、彼らの双子の娘たちが20歳の誕生日を迎えることとなった。
一族の掟として、生まれた娘が20歳のときに当主交代がおこなわれることになっているのである。
双子のどちらが当主となるのか……それは、生前の加寿枝が遺したとされる手紙に書かれている。
誕生日パーティとともにおこなわれることとなった手紙の開封式当日。
緊迫した空気の中で、ジリリ――と屋敷の呼び鈴が鳴る。
そこに現れたのは、幼い一人の少女とその母親らしき人物だった。
少女が懐かしそうに屋敷を見ながら、口を開く。
「あら、久しぶり。私は、加寿枝の生まれ変わりのカズミというの」