四人の名探偵
その日は少し肌寒かった。
青々とした葉は落ち着いた色へと衣替えをし、秋の始まりを告げている。
都内某所の1軒家。主不在のまま10年。
取り壊されることもなくひっそりと存在し続けていたその家に、5人の男がいた。
無口で大人しい、どこか影のある「タクシードライバー」
何がそんなに楽しいのか、常に無邪気で陽気な「私立探偵」
いつも悩み、怒っているような厳しい顔の「弁護士」
人の良さが滲みでている、知的で温和な「推理作家」
人を上からでしか見ることのできない、横柄な態度の「刑事」
彼らは正体不明の差出人から招待状を受け取り、ここへ集まっていた。招待状の内容はこうだ。
「10年前の未解決事件を推理し、犯人を当てられた者に賞金1千万円を与える」
子供のいたずらか、単なる嫌がらせか。普通ならこんな招待状、丸めてゴミ箱送りにされるのがオチだろう。それでも彼らは集まった……なぜか?
答えは明白だ。彼らが「一般的思考をもつごく普通の人間」とは違うから。皆、難事件を解決した過去のある所謂「名探偵」だったのだ。事件を推理することこそが、彼らの生きる楽しみなのだ。
10年前の事件について、律儀に人数分用意された「資料」を見ながら各々が推理し、ああでもないこうでもないと議論を重ねる……しかし推理は難航。
名探偵たちが5人もいながらにして、事件の真相も犯人もわからぬままにただ時間だけが闇雲に過ぎていった。
夜も更け、次第に彼らの口数も減っていく。
明日の朝になればまた思考が冴え、この難事件を解決できるかもしれない。そんな誰かの提案に全員が賛成し、一行はしばしの休息をとることにした。
今にして思えば、この選択こそが名探偵達の最初の「過ち」だったのかもしれない……
同じ場所で起きた、過去と現在の殺人事件。2つの事件は一見何の関係もなさそうに見えて、実は深く繋がっています。過去を知ることが重要なポイントになる……そんなシナリオです。
初心者の方でも楽しくプレイ可能。探偵や弁護士、作家にタクシードライバー等、推理ドラマにありがちな職業のキャラクターでロールプレイできます。ぜひ名探偵達になりきって、物語の真相を突き止めてください。