シニニエ
このムラは1年に1回、山の頂上に棲む大蛇に生贄を捧げることで、病気や不作、天災からムラを守っていた。
生贄を出さないと大蛇の怒りはムラを滅ぼすと言われていたが、人々は決してイヤイヤ生贄を出していたわけではない。
生贄に選ばれるという事はムラを守る守護者になる事を意味しており、生贄を出した家はその年のムラの祭事を仕切る栄誉ある立場を得ることになる。
そのため、ムラでは生贄の条件である女の子供が生まれると大事に育て、いつか生贄の栄誉を授けようと争いあっている。
今年も1人の生贄が選ばれ、その生贄を差し出す前日の夜、生贄を出した家では盛大なお祝いが開かれていた。
生贄の少女は、ムラの中心にあるオヤシロで一晩を過ごし、身を清め、翌朝、山の頂上に運ばれる事になっていたため不在だったが、一族はその栄誉を祝い、大いに盛り上がっていた。
ムラの者たちがそれぞれの夜を過ごしていると、夜の闇を裂くように声が響く。
「大変だ!生贄の少女が死んでいる!!」
果たして生贄の少女を殺したのは誰なのか?
さらに明日の朝までに新たな生贄を用意しなくては、ムラは滅ぼされてしまうだろう。新たな生贄に選ばれるのは…?
物語の扉は開く。