セイレーンの宴
光がわずかに差し込む、暗い海の底。
この海には「人魚の姫が人間に恋をして無残に殺された」という言い伝えが残っており、それ故に人魚たちは人間を忌むべき存在だと考えていた。
人魚たちは夜な夜な集会を行い、人間を罵倒して楽しんでいた。
ある晩、海の外れの珊瑚の森で一人の人魚が死体として見つかった。
彼はユーゴという名前で、人魚の集会に参加しているうちの一人だった。
辺りには人魚を襲うような海洋生物はいない。
これが人魚による犯行だとしたら、犯人は自分たちの中にいる。
仲間を失った人魚たちはユーゴ殺しの犯人を見つけるべく、話し合いを始めたのだった。