GMに毒を盛ったのは誰だ?
――「それでは、恐ろしい夜がやってきます」
人里離れた山荘。小さなテーブル――正確に表現するならいかにも安物っぽいちゃぶ台だが――を囲んで、僕たち8人の同窓生は昔話に花を咲かせていた。
全員が揃うのは久しぶりで話は尽きず、すっかり夜も更け……。「そろそろよい頃合いで」という感じで、人狼でもするかとなった。誰からともなく、緩やかな流れで人狼ゲームが始まるのは僕たちにとっては昔からのことで、あたり前のことだった。
それにしても……、「山荘でやる人狼ゲーム!」と言えば雰囲気が出そうなものだが、さすがに机の上が散らかりすぎだ。出来合いのつまみや、スナック菓子、ビールの空き缶に一升瓶、食器の用意がなかったから紙皿に紙コップ……、いまにも雪崩が起きそうだ。でも、同級生の集まりなんて、こんなラフさでちょうどいい。学生時代に戻ったみたいだ。昔みたいに人狼ゲームであーだこーだ言いながら、誰かがギブアップするまで遊ぶのだ。
初戦は僕がゲームマスターを務めるのがお決まりのパターン。暗黙の了解というやつだが、昔から嫌ではなかった。人狼ゲームは外野から見ている方が面白い。そもそも結構酔っぱらっている自覚もあるし、まともに考察できる気がしない。いや、まあ、それはみんなも同じか……。呑んだくれどもの騙し合い。楽しみだ。
――なんて思ってたら、GMの僕は死んでしまった。あらら。