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青鬼才
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つわものどもが夢のあと
青空に突き抜ける快音が、僕たちの青春に終止符を打つ音だった。 揺らめく陽炎、頬に滴る汗の味、場内を震わせるブラスバンドのメロディと、それをかき消さんばかりの大歓声。球場に犇めくすべての視線を一身に浴びながら、その白い放物線は高く、遠く、力強く伸びていく。呆然と、それが総立ちの観客席へと飛び込んでいく光景を、僕たちはただ見送ることしかできなかった。九回裏の逆転ホームラン――僕たちのサヨナラ負けだった。 ――県大会の決勝戦。甲子園への切符をかけた大一番である。その幕切れにふさわしい劇的な決着に沸く場内で、最初にそれに気が付いたのは誰だったのだろうか。 球場の真ん中で、あいつが倒れていた。エースで四番でキャプテンのあいつ。僕たちの青春の常に中心にいたチームメイト。超高校級の天才と称されるスタープレイヤー。 夏木草介が、マウンドの上で倒れていた。 炎天下による熱中症に思われたその悲劇は、やがて意外な展開を見せ転がり始める。夢破れた少年たちの物語は、まだもう少しだけ終わらない――。