それは長いようで短い、一夜の物語。とある島に向かう小型フェリーに、5人の男女が乗っていた。天気予報によると、これから雨が降るらしい。忍び寄るように暗くなっていく空が、黄昏時をむかえようとする波の間に長い影をおとしていた。一人は、興奮したようにシャッターを切り。一人は、じっと島の方角を睨みつけ。一人は、蒼白な顔でデッキを見つめ。一人は、手紙を何度も読み返し。一人は、何かを探すように船内を歩きまわっている。今日は年に一度、島の祭りが開かれる日だ。島民はみな宴会場に繰りだして、飲めや歌えやの大騒ぎ。だがその翌朝、一人の女性の遺体が見つかったことで、島は喧騒につつまれたのだった−−。